抗生物質副作用

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「抗生物質の副作用」 抗生物質を使う際に注意する5つのポイント

公開日
更新日

 
執筆:ochiai_k(オチアイ・ケー、薬剤師)
 
 
「抗生物質を飲んだことない」という人はいないのではないでしょうか。
 
一方、抗生物質の事をよく理解している人は多くはないように思います。
 
この記事では、 抗生物質の副作用 を中心に、抗生物質を用いる時の注意点について詳しく説明します。
 
 

抗生物質の役割、効能と共通の副作用

 
抗菌薬は人工合成物質と微生物が生産した化学物質の化合物であるのに対し、抗生物質は微生物が生産した化学物質のみで作られています。
 
抗生物質を利用されたかたならお分かりかとおもいますが抗生物質は感染がおきた際に微生物を殺す役割を果たします。
 
よって、細菌によっておきた炎症を和らげるという作用などはありません。抗生物質を抗炎症剤と勘違いし、正しい医師の処方なしに濫用する、という問題が近年明らかになっています。
 
以下、抗生物質に共通的にみられる副作用について説明します。
 

胃腸障害

抗生物質を飲むことで胃痛や下痢を催すというのはよくあることです。
 
抗生物質を利用する5~25%ほどの人口が下痢を体験したという報告もあります。これは腸内フローラが減少し、一定の細菌が増えることから起こると考えられています。
 
このような症状が多く見受けられるのはアモキシシリン/クラブラン酸、セフィキシムやアンピシリンに多い症状と考えられます。
 

全身倦怠感

だるさや筋肉痛は多くの抗生物質にあてはまる副作用です。
 

体質の変化

抗生物質を使用する度に、免疫系、腸内細菌叢、胆汁内の細菌叢が損なわれ、病原体がかえって広がる環境を作ってしまうとも考えられています。
 
 

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特定の抗生物質について

 

性器や口腔内の感染症(主にカンジダ症など)

抗生物質は性器や口腔内の細菌バランスも変えてしまいかねません。これらの一例としてあるのがカンジダ症でこれはCandida属菌種によって生じる日和見感染症です。
 
悪化すると口腔内に白い斑点が表れ、原因不明のだるさ、発熱、全身のかゆみ、膣炎などを引き起こします。
 

スティーブ・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死融解症

抗生物質の副作用としてまれ報告されるのが重篤な皮膚のトラブルです。
 
抗生物質服用後、38度以上の高熱、目やにや目の充血、まぶたのはれ、肌のただれやのどの痛み、皮膚の大きな範囲で発疹や赤みなどがあった場合すぐに医療機関へかかる必要があります。
 
これらは抗生物質服用によるアレルギー症状で発症は極めてまれなものの、死亡に至ケースもある非常に危険な症状です。
 
主にこの症状が心配されるのはペニシリン系の抗生物質、セフェム系の抗生物質、抗テンカン薬や非ステロイド性抗炎症薬のほか、その他多くの薬の副作用としても考えられます。
 

抗生物質をのんだ直後の不快感・静脈炎

服用する抗生物質ではなく、静脈に直接注射するようなタイプで副作用をもたらすケースもあります。注射部分が晴れて赤くなったり、痛みや熱をともなう場合もあります。
 
 

特に注意が必要なもの

 
以上見てきたように抗生物質の副作用は様々ですが、特に注意が必要な副作用としてニューキノロン系の抗菌剤の副作用が考えられます。
 
 

光線過敏症

抗生物質の作用によって紫外線の影響を受けやすくなるという症状が稀にあります。
 
 

耐糖能低下(糖尿病の悪化)

ニューキノロン系抗菌剤を使用する場合、もともと糖尿病の疑いがある方などは注意が必要です。
 
これは血糖値を一定に保とうとする力を一時的に弱めてしまうため、糖尿病(※)を悪化させる傾向があるからです。
 

(※糖尿病については、Mocosuku運営姉妹サイト「糖尿病の原因」で詳しく説明していますので、参考になさってください)

 
 

横紋筋融解現象

酸素分子を代謝に必要な時まで貯蔵する筋肉中のタンパク質であるミオグロビンという物質が、腎臓に溜まることで急性腎不全(※)に至るというケースが稀にあります。

 
ニューキノロン系抗菌剤だけでなく一般の風邪薬でも起こりえることですが、高コレステロール治療中の方や腎臓の機能の弱い方などは注意が必要です。
 
(※腎不全については、Mocosuku運営姉妹サイト「腎不全の原因 :高血圧、糖尿病等…その他の原因は?」で詳しく説明していますので、参考になさってください)
 
  

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抗生物質の有効な使い方や注意点

 
抗生物質を使う際に注意する5つのポイントは、以下です。
 
(1) 抗生物質の知識を深める
抗生物質には、ペニシリン系・マクロライド系・セフェム系など、様々な系統があるため、ただ処方された、すすめられたという理由で服用するのではなく、どのような効能があるのか、リスクがあるのかキチンと理解した上で服用を始めましょう。
 
そのためには、適宜、医師や薬剤師と相談することが必要不可欠です。
 
(2) 自分の体質と抗生物質の相性を理解する
抗生物質にアレルギーはつきものです。
 
とくにもともと持病のある方、アレルギー体質の方は何が体にあっていて何が合っていないのかを理解するためにも、お薬手帳などに何を服用しているのか記録をつけることをおすすめします。
 
(3) 抗生物質は必ず飲みきる
抗生物質を飲み始めたのは良いものの、途中で服用を止めると原因菌を抑えることができないばかりか、薬に対して抵抗性のある耐性菌ができてしまう可能性があります。
 
医師・薬剤師の指示を厳守し、正しい抗生物質の服用をしましょう。
 
(4) 服用回数及び服用時間を守る
抗生物質は飲んでしばらくすると汗や尿などとなって体外に排出されてしまいます。そのため、定期的に服用しなければ十分な効果を得ることができず、体内の細菌をすべて取り除くことができません。
 
(5) 服用後の様子を観察する
処方された抗生物質を飲みきっても症状が改善しない、飲んだ後に違和感を感じるような場合、医師に指示された期間に用法・容量をまもっても回復しない場合には医師に相談し、量や服用機関を変えたり、薬を変えたりする必要があります。
 
 

抗生物質は市販で入手できる?

 
現在、日本では、抗生物質の内服薬は市販されていません。
 
内服するには、かならず医師の処方箋をもって、調剤薬局で処方してもらうことが必要です。
 
ただ、「忙しくて受診する時間がない」「医師の診察は、はずかしくてためらう」「また同じ症状で、前回もこの抗生物質を飲んで効いたからいいだろう」などの理由で、海外の抗生物質をインターネット通販で購入する人もいるといいます。
 
しかし、抗生物質は、用量用法を守って適正に使用しないと、効果がないことに加え、体内で薬に対して抵抗力のある菌(いわゆる「耐性菌」)に変化してしまうリスクがあります。
 
以後、抗生物質が効かなくなってしまう菌に進化するおそれがありますから、自己判断で購入・内服することは、大変危険なことなのです。
 
昨今、世界的に薬剤耐性菌の問題は深刻化しています。
 
このまま耐性菌への対策を講じなければ、2050年には、耐性菌によって世界中で1千万もの人が亡くなるとの推計(※1)もあるといいます。
 
WHO(世界保健機構)が、各国に対応策を求めているのを受け、日本政府も2016年に「2020年を目処に、医師が処方する抗生物質の使用量を33%減らす」という具体的目標を掲げました。
 
「適切な薬剤」を、「必要な場合に限り」「適切な量と期間」使用していくため、具体的対策を打ち出しているところです(※2)。
 

※1 厚生労働省「薬剤耐性の現状及び薬剤耐性対策アクションプラン」より
 
※2 厚生労働省「薬剤耐性対策について」
 
 

抗生物質(抗生剤)とアルコール(酒)の飲み合わせの危険性について

 
そもそも、アルコールと薬を一緒にのむと、薬の作用がより強くでたり、あるいは半減したり、また、思いもよらない副作用があらわれることがありますから、注意が必要です。
 
通常、アルコールを飲むと、体内ではおもに肝臓でアルコール成分が分解されて、最終的に水と炭酸ガスになって、尿として排泄されます。
 
薬もまた、内服後、肝臓で代謝(分解)されます。
 
ですから、アルコールと薬をいっしょに飲んでしまうと、肝臓が過剰にはたらかなければならず、大きな負担がかかることで、肝障害を起こすリスクもあります。
 

抗生物質、とくにセフェム系抗生物質には、アルコールの代謝酵素である「アセトアルデヒド脱水素酵素」を妨げる作用があるため、アルコールの分解を抑えてしまうことがあるといわれます。
 
そのため、いわゆる二日酔いの原因となるアセトアルデヒドがスムーズに排泄されずに体内に蓄積していき、アルコールの影響(顔面紅潮・頭痛・嘔吐などの不快な症状)が強くあらわれたり、長く残る可能性があり、危険をともなうこともあります。
 
以上のことから、薬を内服している場合、アルコールを一緒に摂取することは、大変危険といえます。絶対に避けましょう。

 
 

抗生物質の副作用 まとめ

 
抗生物質に対する副作用は人それぞれです。
 
指摘したような副作用があることから、抗生物質は本来、気楽に飲むべきものではないということです。
 
風邪をひいたから、頭が痛いから、よくわからないけど医者が処方してくれたからという曖昧な動機による服用は控えることをおすすめします。
 
もちろん必要なときもありますが、自分のからだの自然治癒力に頼ることができる時、その他の薬で代用できるときは、避ける必要もあります。
 
自分のからだと症状に相談しながら、上手に抗生物質と付き合っていくこと。それがで自分のカラダを守る第一歩です。
 
 
<執筆者プロフィール>
ochiai_k(オチアイ・ケー)
薬剤師、翻訳・ライター。薬剤師資格保有、医療コンサルティング経験有り。
美容や医療、子育てや家庭の医学など多くのジャンルのライティングなど活動中。
 
 

編集部オススメリンク(外部リンク)

 
関連した情報として以下のものがあります。ご参考にしてください。
 
◆2017年3月6日、厚生労働省の有識者委員会は「軽い風邪や下痢の患者に対する抗生物質(抗菌薬)の投与を控える」呼びかける手引書をまとめました。その背景には、抗生物質を使いすぎると薬剤耐性菌が増えることで、治療に有効な抗生物質が将来なくなる事態が懸念されているということだそうです。
 
詳しくは日本経済新聞『「風邪に抗生物質投与は控えて」 厚労省が手引書』をご覧ください。
 
◆抗生物質の注意事項について、国境なき医師団が解説した動画として以下のようなものがありますので、参考にしてください。
 

 
◆Mocosuku運営の姉妹サイト
 
「膀胱炎の薬とはどんなもの?どうやって炎症を抑えるの?」
 
「膀胱炎の治し方 ってどうするの?女性に多いって本当?」
 
「胃痛と下痢 :「胃痛と下痢」がおきたらどう対処する?なにかの病気なの?」
 
「胃痛と吐き気 の原因は? 大きな病気が潜むこともあり要注意!」
 

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